新卒未経験がWebディレクターになる難しさ

こんにちは。Webディレクターの椿坂泰志です。

結婚式やらなんやらでバタバタしておりまして、ひさしぶりの投稿になってしまいました。

さて、本日は新卒未経験がWebディレクターになる難しさについてお話をしたいと思います。

いきなり結論にはなりますが、これまで現場で新人教育を行ってきた私の持論では新人や新卒未経験がいきなりWebディレクターになるには相当ハードルが高く厳しい道のりになる。ということです。

まず、多くのWeb制作業界の方は「新卒未経験でWebディレクターを採用しているWeb制作会社が存在するの!?」と驚くと思います。なぜ「驚くか」という点を説明しておきますと、WebディレクターというポジションはWeb制作における各職種の中でも最も顧客とのコミュニケーションが発生するポジションであり、Webのノウハウはもちろん、その他にも基本的なビジネスマナーやクライアントのビジネスを理解する力、マネジメント能力、問題解決力、マーケティング力、コミュニケーション能力、交渉力など、あらゆるビジネススキルが必要になるポジションと言えるからです。

つまり求められるスキルが非常に多いのです。

これらの能力を若干21、22歳のつい最近まで学生をやっていた人間にいきなり求めるのはやはり少々酷であり厳しいと言わざるを得ないでしょう。

今日は自分の経験をベースに新卒未経験の方がディレクターになる難しさや厳しさなど障壁をいくつかご紹介いたします。これから新卒でいきなりディレクターになることを検討されている方はこれを読んで本当にいきなりディレクターとしてWeb業界に挑戦するのか考える材料にしていただければ幸いです。

実際に自分が苦しかった

まず、私自身のことをお話しておきます。私は2011年春に新卒未経験でWeb制作の世界に入り、少しだけフロントエンドのコーディングを学んだ後にWebディレクターになりました。

正直に言うと、1人で案件を納品できるようになるまで、かなり厳しい道のりでした。小さな会社でしたので教育体制も皆無に等しく、まさに文字通り体で学ぶという形でした。

打ち合わせの最中ではそもそもクライアントが発言しているビジネス用語がわからないのでリアルタイムでGoogleで調べたり、Web制作に関することも何も分かっていないので自ら調べてやってみて、失敗して怒られての繰り返しで朝方まで働くことも沢山ありました。(あの徹夜明けの独特の空気の澄み具合が最高に気持ち悪かったですね。笑)

もう少し教えてくれる人がいてもよかったなとは思いつつも、僕はもともとひねくれもので初めから自分で何とかするとしか考えてませんでした。それが幸いして新卒未経験でもディレクターになれたのかもしれません。

Webディレクターはかなり広範囲の業務領域をカバーしなければならない

はっきり断言しますが、小さいWeb制作会社の場合、Webディレクターは大体「便利屋」とか「何でも屋」です。

Webディレクターと一言で言っても具体的な定義は曖昧で、その業務内容や業務範囲は組織によって大きく異なると思います。中には営業がいたり、経理がいたり、アドマスターがいたりとポジションがかなり細分化されているWeb制作会社もあります。

しかし、私の在籍するような20数人の小さな組織ですとスタッフのポジションはざっくり以下のように3種類程度しかありません。

  • Webディレクター
  • Webデザイナー(UIデザイナーと呼ばれたりも)
  • Webプログラマー(フロントエンドとバックエンドで分かれている場合も)

このような職種分けになっている小さなWeb制作会社は比較的多いと思いますが、見ての通り、営業や経理や事務といったスタッフがおらず、基本的にWeb制作に携わるスタッフしかいません。

つまり、この人員構成は多くの場合、裏を返すとデザインとプログラミング以外がWebディレクターの業務を意味します。(私のような部長職はプラスで組織のマネジメントも含まれてくる)

直請け案件を主な生業にしているオーソドックスなWeb制作会社の多くは、インバウンドマーケティングになると思いますので、プル型にはなるものの、営業的な動きも求められますし、経理的な業務も必要ですのでwebディレクターはWeb制作における「営業〜納品」までの全てのプロセスに関わる必要があります。

この担当業務の多さは必要となるスキルやノウハウを多くしますので、これらを1つ1つ学んでいく覚悟と努力が必要です。要領よくこなす力も必要ですが、物理的な時間の多さも必要です。

Webディレクターは技術的な話や提案が出来ないといけない

Webディレクターは直接デザインやコーディングを行うといったことはありませんので、Webディレクター自身に制作能力が無くても制作進行は可能です。

しかし、制作進行をしていくなかで、当然クライアントとWebの技術的な話が発生します。その際に、明確な回答や提案が出来て信頼を得られるか否かはやはりWeb制作全般の事をWebディレクターが把握しているかに掛かっています。

新卒未経験で提案まで出来るというのはなかなかハードルが高いですが、広く浅くで構いませんのでWeb制作のイロハをしっかりと学んでおく必要があります。最低限自分1人で簡単なWebサイトやWordPressを用いたサイト制作くらいは出来るくらいのノウハウは入社前に押さえておくと良いでしょうか。

基本的に激務。ストレス耐性は絶対必要になる

これまで書き記したようにwebディレクターは担当業務の領域が広く、1つ1つの案件のスパンが長いため、業務を通しての反復学習的な経験が中々出来ません。

そのため、失敗やミスが多発します。また、新卒未経験だと、Web制作そのもののことがわかっていない場合がほとんどのため、ありとあらゆることに対して先輩や教育担当に確認を取る必要があります。先輩のタイプによっては怒られることもあるでしょう。この無力さが組織に貢献できていないという自信損失やストレスに繋がります。

また、制作スタッフと異なり、Webディレクターはプロジェクトを数ヶ月数年単位で管理しているため、1日の仕事に明確な終わりがありません。いくらでも仕事がある状態です。

制作スタッフはディレクターから割り振られたタスクを消化すれば、スッキリと仕事後の時間を楽しめますが、Webディレクターはそうはいきません。数ヶ月スパンで案件を常に管理しなければなりませんし、極端な話、四六時中スマホなどでクライアントからの連絡を確認したり返答したり出来てしまえます。

ON/OFFの切り替えがうまい人は良いですが、自己マネジメントがうまく出来ない人は、常に仕事と接続されている状態になりますので、これはかなり強いストレスに繋がります。大げさな話ではなく、常に張り詰めているストレスから本当に鬱病になる人もいます。

このようにWebディレクターはかなりストレスがかかるため、ストレス耐性もしくはストレスをコントロール、マネジメントできる力を求められる職種と言えます。もし、ストレス耐性に自信が無いようであれば、相当厳しい毎日になると思いますので覚悟しておきましょう。

ただ、一つ間違いなく言えるのは、ストレス耐性は必ず身につくということです。苦しかったことも一度乗り越えてしまえば、二度目はびっくりするほど軽くあしらえます。逃げ癖がある人には向きませんが、苦しいことにも立ち向かえる方は過度に意識する必要は無いかもしれません。

オーソドックスなWebディレクターへの道のり

もし、あなたがまだ職種を検討出来る立場なのであれば、やはりいきなり未経験でWebディレクターになるのはおススメできません。じっくり取り組む時間があるのであれば以下のような手順が最もオーソドックスかと思います。

Web制作を学ぶことがディレクターとしてのスタートライン

Webディレクターを目指す上で遠回りに感じるかもしれませんが、Web制作のプロジェクトをマネジメントする立場上、まずは最低限HTMLコーダーやデザイナーとして社内でWeb制作の全体的な流れや技術的なことを一通り学び、その後にディレクター業務を学んで行く流れが最も自然です。

また、Web制作では、デザイナーやコーダーというポジションの人間は基本的には内製側の人間になりますので、社内でじっくりと教育していくことが比較的容易です。

しかし、Webディレクターはクライアントと積極的にコミュニケーションを取っていかなければならないポジションですので、下手をすれば案件が暗礁に乗り上げたり、契約を打ち切られたり、「トラブル」に直結するポジションとなります。

この点からも「いきなりWebディレクター」というのはリスクが高いと言わざるを得ません。もし、まだ職種を選べるのであれば、極力、内製側のポジションとなる制作スタッフとしてWeb制作の経験値をためるほうが無難と考えられます。

アシスタントディレクターとしてディレクションを徐々に経験する

制作スタッフとして一通り技術的なことを学び、ディレクターになったとしても、やはりいきなり案件を担当するのはリスクが高いと思います。

Webディレクターはクライアント企業のエグゼクティブとやり取りをすることが多くなりますので、Web制作のことだけを知っていれば通用するというわけにはありません。

制作スタッフとしての経験から技術面をカバー出来るようになったとはいえ、Webディレクターはクライアント企業の業界のこと、マーケティングのこと、クライアントのビジネスそのものを理解する力が無ければ成果を出すWebサイトは構築できません。

その他にもコミュニケーションスキルや各種ドキュメント制作スキル、ビジネスマナーなどそもそもビジネスパーソンとしてのスキルを高めていかなければ、クライアントの満足度を高めることは難しいでしょう。

また、スケジュール管理やクライアントとのコミュニケーション、プロジェクトのリスクヘッジといった能力は、どうしても経験によるところが大きいです。

ですので、まずは、先輩ディレクターの背後で一通りアシスタントとして、ディレクションを肌で感じ、徐々に独り立ちしていく方がクライアント側にも新人側にも負担をかけずに教育が出来るかと思います。(教える方はやはり負荷はかかると思いますが仕方ありません。)

どうしても新卒未経験でWebディレクターを目指すなら社内体制を十分に確認すべし

ここまで「制作者として経験を積んだ上でwebディレクターを目指せ」という話をしてきましたが、それでもどうしてもWebディレクターを目指すのであれば、入社前に社内の教育体制や制作チーム体制などは十分に確認しておきましょう。(もちろん自分自身で成長できるように努力する姿勢を持ち合わせていることは大前提です!)

できればアシスタントとして先輩ディレクターのサポートから入るような会社が良いでしょう。まずは見て学ぶというくらいゆとりのある会社のほうが徐々に業界に慣れていくことが出来るので強いストレスにさらされるリスクも少ないです。

少なくともいきなり案件の窓口を担当させたり、売上ノルマを課すような組織は避けたほうが無難です。理由は再三話しをしましたが、Webディレクターは様々な要因から強いストレスにさらされます。

私の経験上、新卒未経験の中で離職するポジションは間違いなくディレクターが多いです。さらに言えば、精神的な異常をきたして離職するパターンが最も多いです。つまり新卒未経験がWebディレクターを目指すうえで一番初めに障壁となるのはストレスなのです。

そのため、ストレス体制に自信が無いようであれば、まずは徐々に現場に入っていけるスピード感のWeb制作会社を選ぶべきでしょう。(新卒未経験でWebディレクターを募集している会社にそのような会社があるかは別ですが。。。苦笑)

以上となります。

WebディレクターはWeb制作における要のポジションです。だからこそ、本来はじっくり制作の基礎から学んでから就くべきポジションだと言えます。新卒未経験で挑戦するか否かはあなた次第ですが、経験者の私がもしアドバイスをもとめられれば、本文にあるように間違いなく、「まずは制作からやるべき」と答えるでしょう。

それでも俺はやるんだ!って方もいると思いますので、そのような方は上記の実状が何らかのヒントや助けになればと思います。

また、具体的な助言や業界の疑問点などがある方はお問い合わせTwitterからお気軽にメッセージを下さい。極力丁寧にお答えしたいと思います。

では!!