ブランドとは何なのか?改めて得体の知れないものについて再考する

こんにちは。

将来はブランドコンサルティングをやってみたいと妄想している椿坂です。

僕は実は「ブランド」というものに昔から興味があり、常日頃ブランドやブランディングに関する書籍を読み漁っています。しかし、どの書籍を読んでもいまいち自分の中でスッと腑に落ちる書籍は少なくく、いつもモヤモヤした気持ちになります。そこで今日は自分なりにまとめたブランド論についてちょこちょこ書いて行きたいと思います。

※この記事には椿坂の主観的な考えもたくさん含まれているので予めご了承くださいね。

「ブランド」とは?

まず、そもそもですが、僕はブランドという言葉には2つの意味があると思っています。それはコトバとしての「ブランド」。もう一つが概念としての「ブランド」です。

コトバとしての「ブランド」

コトバとしての「ブランド」。例えば、会話の中で「新ブランドをローンチしました」っていう会話で用いるブランドの意味を端的に言ってしまえば、製品やサービスを示す名前やそれに代わるシンボルを指すコトバだと思います。語源から考えてもこの意味は間違っていないと思います。

ブランドの語源

よくブランドの語源として語られているのが、「家畜への焼き印」かと思います。昔、他者の家畜と自分の家畜を区別するために家畜に対して焼き印を行われた行為の言葉に由来していると言われています。つまり現代でいうところのロゴが当時の焼き印だったわけですね。

ビジネス上の概念としての「ブランド」

しかし、いわゆるブランド企業などの「ブランド」に用いられる「ブランド価値」を読み解くのは非常に難解で、ブランドとは何なのか?と聞かれると様々な要素が絡みあって、一気に回答が難しくなると感じています。

※ちなみに今日の記事ではこの「ビジネス上の概念としてのブランド」について考えをまとめます。

ブランドはどこにあるのか?

まず、ブランドがどこにあるのかを考えてみたいと思います。ブランドとはロゴやパッケージを差すのでしょうか?おそらくこれは完全な正解とは言えません。ロゴやパッケージなど表面上のものはあくまでブランドを表現するシンボルでありブランドそのものではありません。では一体ブランドとはどこにあるのでしょうか。

実はブランドとは消費者の心の中にあります。消費者が製品やサービス、またはそれに付随する何かに触れて体験していくなかで消費者の中にブランドは生成されていきます。例えば、Webサイト、店舗、電話やメール対応、商品やサービスがもたらすベネフィット、購入後のサポートなど消費者とのあらゆるタッチポイントから消費者は心の中にブランドイメージを構築していきます。もちろんポジティブな感情が働かなければブランドは構築されません。消費者のニーズ、アイデンティティや嗜好等と利用するサービス、商品等が合致したときに消費者はブランドを構築していきます。

自分達が目指したいブランドイメージを顧客に向けて発信すること重要ですが、基本的にブランドを感じるのは消費者側になりますので、デザインなど、表面的な要素のみでブランドを一方的に生成させるといったことは決して出来ないということになります。

ブランドの誤解

ブランドは大企業のもの?

僕は以前、試しに上の人間に「ブランドって何ですかね?」と聞いてみたことがあります。すると、このような返事が返ってきました。
「ブランドなんてただの信頼だから」
僕は不正解だとは思いませんでしたが完全な正解だとも思っていません。この方は、さも「ブランドは大企業のものだから」と言わんばかりでしたが、ブランドとは大企業を差すものではありません。世の中にある商品、サービス、個人、地域、音楽等のありとあらゆる規模ものに対して「ブランド」は存在します。

実際に自分の身の回りには必ず自分の中でブランドと感じているものがあるはずです。そしてそれは必ずしも大きな企業のものばかりではないはずです。

高級品やおしゃれなデザインがブランド?

大企業と同様で高級品やおしゃれなデザインがブランドという考え方も完全な正解ではないと思います。もちろん高級品がブランドの可能性はあります。しかし、前述のとおり、ブランドとは人の心の中にあるものなのです。つまり高級だろうか低価格だろうが、消費者にとってブランドを感じるモノサシは異なるのです。消費者のニーズや嗜好を知り、そのユーザに合ったサービスや製品を提供することで、その製品やサービスはユーザにとってのブランドになり得るわけなのです。

ブランドをわかりにくくしている正体

ここまで書いていくなかで、ブランドは本当にわかりづらいと改めて思います。なぜブランドはこのようにわかりづらいのか?それは、おそらくブランドという言葉は実在しているようでしていない実態の無い「概念」だからだと思います。しかも個人個人の心の中に存在し、もっと言えばこの概念は絶対的なものではなく、個人個人で感じ方や欲するニーズが異なる相対的なもののため、よりわかりづらくなっているのだと思います。(つまり人によりブランドは異なる。)

例えば、僕は無印良品が大好きです。同じようなデザインの商品があったとしてもなぜか無印良品で購入したりします。この状態はおそらく僕に何かしらのニーズや嗜好があり、それらに対して無印良品が応えてくれたために、「ブランド」になっているのだと思います。しかし、世の中には別に無印良品に興味が無い方もいるはずです。この方にとっては無印良品はブランドではないわけです。つまり、このように同じ商品やサービスであったとしても人によってブランドか否かは異なるため、ブランドという言葉をよりわかりづらくしているのだと思います。

「ブランド」な製品やサービスとは?

人により考えがあるかと思いますが、僕が考える消費者にブランドと思ってもらえる製品やサービスにはいずれも以下のような特徴があると思っています。
・他と区別出来て好感を感じるもの(「もの」とは商品や個人、サービス、地域などあらゆるもの)
かなと思います。要は差別化出来て、自分が好きと感じることが出来るものだと思います。

ちなみにブランドに造詣が深いビジネス界の著名人はブランドづくりについて以下のように述べています。

スターブランド株式会社 村尾隆介さん

“ブランドづくりはファンづくり”

USAMIブランディング株式会社 宇佐美清さん

“究極のところ好きという感情”

沢山ブランドやブランディングの書籍を読み漁りましたが、このお二方の書籍が最もわかりやすく、実際の自分の生活と照らし合わせても腑に落ちる感じでした。村尾さんの「ファン」に関しても捉え方によっては「好き」という捉え方が出来ますので、ブランドとは「好き」という感情に近く、ブランディングしていくというのは消費者に「好き」と思ってもらえる活動をすることなのだと思います。

ブランドを構築する3つの「好き」の正体

ブランドの正体が「好き」ということですが、もう少し掘り下げてみると、人が好きという感情を得るにはいくつかの便益が関わっていることがわかります。
以下、表にまとめます。(自己表現のベネフィットは情緒に含むという説もあります)

機能ベネフィット 情緒ベネフィット 自己表現ベネフィット
ブランドが持つ効果や機能面によって得られる便益 ブランドによって得られる感情面に対する便益 ブランドを所有することで得られる自己表現に対する便益

これら3つのベネフィットが複雑に絡み合ってブランドは形成されます。もちろん業界やターゲットなどのカテゴリーによっても3つのブレンドはさまざまで機能ベネフィットに重きを置く業界もあれば、情緒ベネフィットを重視する業界やターゲットもあるでしょう。

例えば衣料というカテゴリーに置いても若者向けのおしゃれなアパレルブランドとユニクロとではベネフィットのブレンドは異なると思います。若者のおしゃれな洋服に対して機能面を重視するアイテムを展開するということは少ないと思います。これは若者のニーズが機能面に無いということをアパレルブランドはわかっているからです。逆にユニクロのようなおしゃれなユーザ以外もターゲットに見込んでいるであろうブランドはヒートテックなどデザイン性よりも機能面を訴求するアイテムが非常に多いことがわかります。このようにターゲットとするユーザを策定して、ターゲットのニーズに合わせてベネフィットの優先度を決めてブレンド・訴求していくことが大切なのです。

機能ベネフィット

製品でいえばスペックや機能。最もわかりやすくブランド形成の切り口にしやすいベーシックなベネフィット

機能ベネフィットはユーザにとって最もわかりやすいベネフィットです。軽い、早い、便利、安い、うまい、などが機能ベネフィットにあたります。

特に法人ビジネスに置いては大半が「問題解決」がビジネスになることが多いので、この問題解決能力を指し示す製品やサービスのスペックがそのままユーザのベネフィットになる場合が大半です。そのため、法人対法人の場合にはこの機能ベネフィットがブランドを形成する切り口になることが多くなると思います。

しかし、反面、一般コンシューマー向けのビジネスに多くみられますが、軽い、早い、便利、安い、うまい、などの機能ベネフィットはサービス提供側目線のプロダクトアウト的な思考から生まれる場合も多く、また、大半の場合は、同じようなスペックの後続サービスや製品が続々と出てきてしまいます。そのため、機能ベネフィットがそのまま消費者にとっての絶対的なUSPにつながることは少なく、機能ベネフィットだけでユーザのブランドであり続けるのは難しい場合があります。

例えば、代表的な例が日本の牛丼ビジネスやハンバーガービジネス(ファーストの)です。おそらく大半の方が「安くて早くてうまい」という理由で牛丼やハンバーガーを食べているかと思いますが、おそらく「ここのじゃなきゃ絶対に嫌だ」という考えで店に訪れている方は稀だと思います。なぜなら、どこのお店も全部それなりに早く出てきておいしくて安いからです。つまりユーザからすればどこでも良いのです。この状態はブランドロイヤリティ(ブランド忠誠心)が著しく低く、継続してこのブランドを使おうという状態になっていないと言えます。つまり真のブランドとは言えない状態なのです。

企業は機能ベネフィットを切り口に(もしくは機能ベネフィットを用いずに)後述の2つのベネフィットに結びつけていくことが安定したブランド構築のカギになります。

情緒ベネフィット

ブランドを用いることで得られる感情面に作用するベネフィット

情緒ベネフィットは楽しいやうれしい、心地いい、かっこいいなどの感情に関連するベネフィットになります。しかし、情緒ベネフィットの元となっているのは実は機能ベネフィットの場合が多く、例えば、新作のお菓子などは楽しい食感といった情緒的なベネフィットを打ち出しつつも、裏でこの情緒を生成しているのは「食感」という機能ベネフィットだったりするわけです。車においても心地の良い乗り心地、安心感といった情緒ベネフィットが考えられますが、これを支えているのはもちろん安全面の機能ベネフィットなのです。

情緒ベネフィットを得られる有名なブランドとしては、例えば、アップルであれば、クリエイティブな気分になれますし、ベンツはリッチな気持ちになれます。コカ・コーラが手元にあれば元気が出ますし、Wiiがあれば家族みんなが楽しめます。

このように、商品と情緒面のベネフィットの結びつきが強くなれば、ユーザの中のブランドはより強固になり、顧客のブランドロイヤリティも非常に高くなります。

自己表現ベネフィット

ブランドの究極体

僕は自己表現のベネフィットが最強のベネフィットだと思っています。自己表現のベネフィットとはブランド自体を所有すること(もしくは関わること)でベネフィットを得ることが出来る状態です。例えばフェラーリなどが顕著な例だと思います。フェラーリが実用的かと言えば絶対そうではなく、ほとんどの場合が自己のステータスをアピールするために乗るはずです。

他の2つのベネフィットもそうですが、この自己表現のベネフィットにはさまざまなカテゴリーやレベルが存在し、その全てがフェラーリのような価格帯のものばかりではないと思います。例えばクリエイター系の人であればアップル製品が自己表現につながっている人もいると思いますし、スターバックスが自己表現の人もいるかもしれません。または著名な人物などとの関わりをSNSで投稿する人は、一個人に対して自己表現のベネフィットが働いているとも言えます。このようにユーザの自己表現に関わることが出来るブランドは強固であり、もはやなくてはならないものです。きっとそのユーザにとっては重要なブランドとして認識されていることでしょう。

ベネフィットのブレンド

3つのベネフィットを書いてきましたが、必ずしも全てを満たさなければならないとは思いません。業種や想定するターゲットがどのような方かによって3つのベネフィットのブレンドは大きく異なるはずだからです。例えば世の中のサービスには全てが「自己表現」をしたいものばかりではないはずです。例えば探偵など人に表現する必要がまったく無い業種もあります。これらの業種は価格やスペック、もしくは匿名性がもたらす安心感など機能ベネフィットや情緒ベネフィットを打ち出していったほうがブランド構築につながるはずです。

このようにベネフィットは業種やターゲットにより大きく異なりますので、ニーズをうまくくみ取り、ベネフィットをブレンドしていく必要があります。

ブランドがもたらすもの

購買における利点

ユーザにとってブランドとなった製品やサービスは、購買において他の製品と比べても大きなアドバンテージを得ることが出来ます。例えば全く同じ価格帯で同じような商品があったとします。この場合、全く知らないブランド名と自分の中でブランドとして確立されている商品があったとするならば、多くの方はブランドを選ぶと思います。このようにブランドは購買における選択基準に知らぬ間に含まれている場合があり、多くの場合、それはポジティブな作用をもたらすと言えます。

人事における利点

またブランドは購買以外に人事面においても利点があります。特に自己表現のベネフィットを満たせる企業は人事面において強いアドバンテージがあります。

給料が高いという機能ベネフィットがあればある一定の人材を確保することは出来るでしょう。しかし、製品やサービスと同じで、より高い給料があればその方は転職していく可能性が高くなるでしょう。

また、情緒ベネフィットも重要で、やりがいや将来の夢などに関するベネフィットを与えることが出来ればたとえ給料が標準的なものであったとしても、一定の人材を囲い込むことはできると思います。特に将来の夢がある人物や仕事や働く意味を求める人材には情緒ベネフィットを訴求することが望ましいでしょう。

そして、やはり最も強いのが自己表現のベネフィットを得られる企業です。「自分はここで働いているんだぞ」と人に自慢の出来る企業は人の出入りは少なく、人材に困ることは少ないでしょう。無論、自慢したくなるような企業は前述のベネフィットを満たせてなければ実現は難しいでしょうが、、、

人の入れ替わりが激しい企業は自社のブランドを見つめ直す必要があります。おそらく前述の3つのベネフィットのいずれも満たすことが出来ていない可能性が高いのではないでしょうか。

このようにブランドがもたらすものは計り知れません。ブランドは目に見えるものではないため、具体的な効果を測ることは出来ませんが、前述のスターブランド株式会社の村尾隆介さんはブランドのもたらすものについて、以下のように述べています。

“小さな会社がブランドらしく成長すると、その会社には「引力」のようなものが備わってきます。そして、その引力は、ファン(お客さま)、スタッフ、お金、情報、チャンスなど、経営に必要なものを、会社に引き寄せてくれます。”

今日はブランドの正体について書いていきました。特に重要やポイントは2つ。

  • ブランドとは顧客の心の中にあるもの
  • ブランドと呼ばれる企業は「他と区別出来て好感を感じるもの」がある

ブランドという得体の知れないものに翻弄されるビジネスマンにとってこの記事が少しでも参考になれば幸いです。

今度はブランドの構築方法「ブランディング」について書いてみたいと思います!

では!