営業的な業務を求められるWebディレクターが商談ですぐに使える15のテクニック

営業的な業務を求められるWebディレクターが商談ですぐに使える15のテクニック
こんばんは。Webディレクターの椿坂泰志です。

クライアントとの直請け案件を生業にしている多くのWeb制作会社は検索エンジンから集客している場合が多いと思います。また、そのようなWeb制作会社には営業マンがおらず、集客フローが以下のようになっているケースが大半だと思います。

営業フロー

上記の流れの中でも通常だとクライアントとの接点はWebディレクターが担うことが多く、若干ではあるもののWebディレクターが営業マン的な機能を果たしていることになるかと思います。もちろんアウトバウンド営業を行っている営業マンに比べれば、上記のような営業フローはツーステップのインバウンド営業になりますので、かなり営業色は薄いと言えます。(私自身、営業に行っている意識は無くて、問題解決のお手伝いに行っているようなイメージ)しかしながらいくら事前に自社が認知されていたとしても担当者を最終的な決断に至らせるためには多少の売り込み(営業活動)は必要になるでしょう。

仮に経営サイドのマーケティングが巧みだったとしても、打ち合わせが不要なテンプレート系Web制作でもない限り、コンサル色の強いWeb制作会社は最終的にはフェイストゥフェイスでの商談になることが大半だと思います。となりますと、営業マンのいないWeb制作会社は顧客との接点の大半を占めるWebディレクターが会社の売上の責任を担っているといっても過言ではありません。

そこで今日は成約前の見込み顧客との商談が苦手なWebディレクターがすぐに使えるセールスのテクニック(小手先も含めた)について書いていきたいと思います。※もちろんWeb制作会社として顧客の問題に寄り添った良い提案が出来ることは大前提です(苦笑)。

※尚、以下で紹介している手法の大半はダイレクトマーケティングで著名なジョセフ・シュガーマンの「シュガーマンのマーケティング30の法則」に基づいています。

9対1くらいで相手に話をさせる。

まず、今回いくつかの手法をご紹介しますがその大前提としてはこれがあります。とにかく商談では自分や自分の会社の話をしすぎないように気をつけましょう。

僕は以前にWeb業界である程度有名であろう企業のCTOの方と商談を行ったことがあります(僕から相談した)。その方は1時間の打ち合わせの中で終始自分達がいかに優れているか、何を成し遂げてきたかを自慢していました。僕が問い合わせた経緯や抱えている問題に関する話題は1分もありませんでした。

僕は打ち合わせが始まった10分くらいで「この人達はすごい人かもしれないけど、僕の問題には寄り添ってくれなさそうだな。とりあえず早く帰ってくれないかな、、、」と本音では思っていました。

基本的に相当な知名度がなければ、顧客はあなたやあなたの会社がいかに優れていようとあなたのことには興味を持っていないと考えた方が無難です。顧客は常に自分の抱えている問題の解決策にだけ興味があります。となれば、Webディレクターがいきなり自分達の会社案内や実績の話をするのは良い方法とは言えません。なぜ自分達に問い合わせを入れてきたのか?なぜWebサイトのリニューアルや立ち上げを検討しているのか?今、何が課題で何が障害になっているのか?どのような目標を達成したいのか?顧客の問題解決を解決するための質問を繰り返すことが基本中の基本でしょう。自分達が何者で何を成し遂げてきたか、何が優れているかという話は商談の最後に軽く行う程度で良いでしょう。

ネガティブなポイントは隠さず先に言ってしまう

これはマーケティング手法としても存在する方法です。特に見込み客との初回オリエンや打ち合わせなどの際にウィークポイントやネガティブなポイントは隠すのではなく、きちんとさらけ出してしまったほうが驚くほど見込み客の警戒が解けます。もちろんその発言が失注のクリティカルにならないようにうまく言い回しを変えたりして、そのネガティブなポイントを克服する必要はあります。例えば、「人員が少ない」→「少数精鋭」。「制作開始まで時間がかかる」→「人気があって立て込んでいる」「十分な調査などを行うのに時間がかかる」といった具合です。

抵抗感を克服してあげる

見込み客はサービスを導入するにあたり、様々な抵抗感を抱いている場合がほとんどです。そして、困ったことにほとんどの見込み客は自らの抵抗や障壁が何かといったことを積極的には語ってくれません。ですのでWebディレクターはこの抵抗感をうまくくみ取り、ぬぐえるように提案や交渉を行っていく必要があります。予算、スケジュール、制作体制、打ち合わせや修正の制限、支払いサイトなど考えられる障壁や抵抗感は沢山あります。これらを質問形式にしながらうまく聞き出しつつ、伝えていくのが重要です。ディレクター自ら「私たちは●●ですよ」とアピールするのは押し売りですし、見込み客は売り込まれている感覚になり警戒心を高めることになります。

巻き込みとオーナーシップで疑似体験させる

これは顧客に疑似体験をさせてあたかもその商品を所有しているかのような感覚にする手法です。店舗ビジネスの場合ですと、試着や試食、車両販売であれば試乗体験などがそれにあたります。(これは返報性の法則という効果も複合的に関与しています。)Web制作自体を売り込む際にはなかなか用いることが難しい法則ではあるのですが、それでも活用できるシーンはあると思います。例えば、企画提案のようなソフト面よりもCMSなどハード面が課題で操作性等を気にしている見込み客に対しては、デモ環境などを実際に操作させて巻き込む方法が考えられます。

誠実に対応する

当たり前ですがこれは非常に重要です。大抵の場合、顧客は相見積もりやコンペを行っていますが、競合のレベルによっては当たり前のことを当たり前にするだけでも成約してしまうケースもあります。例えば、Web制作会社に多いのがレスポンスの悪さ、期限に対する認識の甘さが結構あるようです(実際のクライアント談)。このような場合、スケジュールを守ったり、メールをきちんと返すといった、ビジネスパーソンとして当たり前のことを当たり前に実行するだけでもアドバンテージが得られてしまうことが有ります。

また、相見積もりや提案コンペで競合している企業に関する話を聞いても、驚くくらい稚拙な内容の提案をしている会社は未だにあります。もしかしますとWeb制作業界が閉鎖的なことを言い事に顧客をだましてやろうという姿勢でビジネスを行っているのかもしれません。顧客は私たちが思っている以上に物知りで業界のことを知っています。そして思っている以上に怪しくきな臭い業界だと思っています。そのような方々に稚拙なだまし文句は通用しません。きちんと誠実に正直に対応する姿勢が必要でしょう。

もちろん、誠実に対応するだけで成約に結びつくと思わってはいけません。このような方法で成約するのは周りが相当低レベルだったというだけのラッキーパンチです。誠実に対応することはあくまで「ビジネスの土俵に上がるため」の最低限の条件と念頭におくべきしょう。

専門家やリーディングカンパニーの事例など権威を使う

この手法はディレクションにもセールスにも使えます。僕自身はあまりこの手の法則には影響されませんが、世の中には専門家のお墨付きを欲しがる顧客は沢山います。特に大企業や行政、その他いわゆる「お堅い仕事」の方たちに多く見られます。

皆大切なお金を無駄にしたくないと考えているので当たり前と言えば当たり前かもしれません。例えばWeb制作の商談ではよく「私たちと同業の事例はありますか?」と聞かれます。この手の質問をしてくる担当者に関しては、経験値の確認はもちろんですが、多少なりとも権威を気にする傾向にあるように思います。この質問があった際に、もし業界のリーディングカンパニーや大企業の事例などが提示できるようであれば、予算など基本的な要件をクリアしていれば大きなアドバンテージを得ることができると思います。ちなみにあまり自慢が出来る話ではありませんが、私自身この手法だけで数百万規模の案件を成約させたこともあります。

お買い得感を与えるために上位プランの見積も提出する

顧客にどれだけお買い得感を与えることが出来るかというのはマーケティングに置いて非常に重要なポイントです。当たり前ですが、誰しもが「得をしたい」「安く買いたい」と考えています。私はWeb制作の見積を出す際には顧客の要件を満たしたオーソドックスな見積とオプションなどが付与されたさらに上位プランの見積を提出するようにしています。事前の打ち合わせ等で顧客はある程度金額の目星がついている場合などは、この方法を取ることで普通にオーソドックスな見積書を単発で出すよりもよりお買い得感を与えることが出来ます。

見た目の手を抜かない

Web制作の商談では無形物のサービスを販売することになりますので、顧客は提案内容以外にWebディレクターを商材として品定めしています。当然ですが顧客は仕事の出来ないディレクターよりも仕事の出来るディレクターと仕事をしたいと思っています。

人は見た目だけではありませんが、あなたと始めて会う人は少ない時間と情報からあなたを見定めなければなりませんので、見た目からもあなたを評価しています(評価せざるを得ない)。当然ですがリクルートスーツを着てくる新卒丸出しな人が仕事の出来るディレクターに見えるはずがありません。少なくとも僕は数百万もする案件をわざわざ「新人かな?」と思う人に任せたいと思えません。この心理は普通だと思います。

このように人は見た目からも大いに評価をされていますので、わざわざ見た目を「出来なさそう」な人にするメリットはありません。顧客と商談する立場のディレクターは自分自身の身なりを見直し、変なビハインド状態で商談を進めなくてもよいように気を配りましょう。

もちろん実際に「仕事の出来る奴」になる努力を忘れずに(笑)

理屈による正当化が出来るように準備する。

顧客は感覚で買い、理屈で納得(正当化)します。感覚で販売プロセスに引き込むことが出来たとしても最終的には顧客は理屈による正当化を行います。その際の手伝いが出来るように準備をしておく必要はあります。例えば製品の性能における優位性や実績の数など、他社と比べてなぜ自社を選ぶ必要があるのかを明確にできるコンテンツなどを準備しておくことが望ましいでしょう。

強欲を使う場合は裏付けを忘れずに

人は強欲です。もしあなたの会社の制作費が競合他社に比べて、価格的に優位であったり、キャンペーンなどで一時的に値引き状態で商談をする場合は反応率が高くなると思います。値段が安かったり、値引きをする場合は成約させるために多くを語る必要はない。これは誰しもが知るところです。但し、多少は裏付け的な要素がなければ顧客は信頼性に疑問を持ち、反応率に影響が出てしまう可能性があるので注意が必要です。なぜ、この値段で提供できるのかという点を説明出来るように準備しておきましょう。また、人の強欲を利用する方法は値引きだけではありません。顧客が期待する以上のお買い得感を与えることが出来れば反応率を高めることは可能です。

ちなみに私は値引きを求められても工数が減る理由が無ければ値引きには絶対に応じません(笑)

「あえて」専門用語を用いて信頼性、信憑性を高める

人は信頼のおけるサービスや商品を使用します。Web制作のセールスにおいて相手に信頼感を与えるテクニックとして、あえて顧客が文脈等からある程度理解できる専門用語や数値的な話を盛り込む方法です。特に先に見た目の話で述べた通り、若年層のディレクターがある程度の規模感の企業とやりとりをすると、年齢や容姿だけで選考漏れになることも少なくありません。そこで見た目を改善する以外の方法として、専門用語を織り交ぜるこの方法があります。

普通であれば素人に対して専門用語を使うというのはご法度ですが、あえて「出来る奴」を演出するために若干の専門用語や数字、顧客の業界の専門用語を使ってあげます。通常であれば自らの業界でしか使わない言葉が出てくることで顧客は「おや?」と想い、一気に信頼性が増しますので、若年層のディレクターにはこの方法はおススメです。ただし、意味もなく専門用語を多用するのはご法度です。何を言っているか分からずに顧客に嫌悪されてしまい本末転倒です。また、年配の方や地方の方は専門用語を妙なカタカナ用語と感じて嫌う傾向にあるように思いますので、この方法はオススメではありません。

返報性の法則を使う

これは有名な方法ですね。つまり相手に何かをしてあげると相手は自分に対して何かお返しをしなければならないように感じてしまう心理です。寄付を募る団体が先に相手に花を送ることで受け取ったほうはお返しをしなければならないと感じてしまい結果として寄付をしてしまうという話が良く例に挙がりますね。Web制作の商談でもこの法則を使用する機会は実はそれなりにあります。例えば、結構簡単に案件が成約するパターンとして、見込み客の方からリニューアル等の問い合わせと並行して早急に改善しなければならないトラブル系の悩みを抱えている場合です。このような場合は、先にトラブルを解消してあげることにより、相手は自分に恩義を感じることになります。この流れでリニューアル等の本来相談したかった案件の受注率もグッと高まることになります。もちろん初めからこの法則を使う魂胆で恩を売りつけるような対応をするのは褒められたものではありません(気持ちよくない!)。常に相手に貢献する気持ちを持って対応をすれば、結果は後から着いてくるという精神でビジネルに取り組むべきかと思います。

保証する

保証があると見込み客の心理的ハードルをグッと下げることが出来ます。Web制作の場合でも成果が出なければ保証するということが出来れば最高の保証になるのですが、成果系の案件の場合、SEOが絡む場合も多く、不確かな検索エンジンといった要素が関わってくる以上、このような保証は中々難しいでしょう。しかし、例えば「デザイン修正無制限」「公開後六ヶ月間修正保証」等、ある程度自社がリスクを背負うリスクリバーサル的なことは出来るはずです。このように何かしらの形で顧客の満足を確約することができれば、顧客にとってはサービス利用の心理的ハードルはグッと下がることになります。

成約した顧客にはクロスセル、アップセルを忘れずに

この話は成約後の話ですが、成約後も利益を増加させるチャンスが潜んでいます。一般的に見込み客を顧客にするためには大変な労力が必要になります。それに比べて、一度顧客になった方に対して、サービスを追加で購入したり、グレードを上げたりさせることは、実はさほど難しくありません。これは一貫性の法則と呼ばれる有名な方法ですが、Web制作に置いてもこの性質を使わない手はありません。例えば、SSL化やスマートフォン対応などは価格のインパクトが少ない割に得られるメリットが大きいため、未実装のクライアントに対してクロスセルを仕掛けるネタとしてはもってこいだと思います。

顧客に対して感情移入する

なんだかんだこれが一番大切です。
私が普段、Web制作の商談で競合する企業は名だたるWeb制作会社だったりその会社の社長(社長営業は反則だろ。笑)とバッティングするのですが、あっさり勝ってしまいます。私はなるべく顧客になぜ選んでくれたのですか?と聞くようにしているのですが、「椿坂さんだから」「プロジェクトを成功させようとする熱を感じる」と言ってくださる方が結構いらっしゃいます。Web制作業界の方はカタカナ用語やマーケティング用語を使うことはうまいと思うのですが、「この人と仕事をしたい」と思わせることが下手な方が多い気がします。また、顧客のビジネスに感情移入し、成功させよう!という気概を持てる方も少ないように思います。顧客のビジネスに共鳴し、好きになり、歩み寄って、問題を解決していくという姿勢は顧客の制作会社選定にとって、かなり重要な要素だと思います。
(最終的に感情論というのが椿坂っぽいですね苦笑)

以上です。

小手先なテクニックも多いですが、それ故に即使えるネタばかりなので営業的な業務が嫌いなディレクターはぜひ参考にしてみてください。
この記事が少しでも何かの役に立てば幸いです。

では!!